スプリングバック(予測&対策)のCAE

金型メーカA社では、昨今の厳しいカスタマーからのQCD要請に対応するために、"03年よりJSTAMP/NVを導入して活用を開始した。主に、板厚が1mm以下のボディ薄板部品の量産金型製作に適用している。

 導入の背景と運用体制

導入のきっかけは、78年前の海外の金型引き合い時に、解析の実施が受注条件になっていたことだった。そして今や、国内の引き合いに関しても、解析の実施が受注条件になりつつある。

CAEは主に、図1の様なDRAW金型のわれ・しわに適用しており、スプリングバックは負荷オーバー・計算時間の兼ね合いで、親会社へ必要都度に解析を依頼している。

                    (図1DRAW金型:われ・しわ

操作は3D-CAM出身の4名で、平均8部品/月についてCAM/CAEの総ての業務を行なっている。システムの立ち上げは、(株)JSOLでの教育後に23ヶ月で殆ど問題なく本格稼働へ移れた。また、導入当時のUNIX系に較べて最近のPC系では、システム自体GUIなどが改善されているので、使いやすさが大幅に向上している。

国内の受注部品では、たとえば板厚減少率がカスタマー指定の範囲に入るまで、解析を実施するケースもある。部品によっては、10回以上のモデリング・解析を繰り返すこともある。同時に、その指定範囲に入るまで、CAMデータの作成が許可されない場合もあり、工数は元より日程に影響が出ることがある。一方、トリムライン展開機能については、従来の誤差数mmCAD展開より精度・工数ともに優れているので、適用が進んでいる。(図2)工数は適用前と比較すると1/10程度に、精度はほぼ±1.0mmの範囲に入る様になって来たので、大幅に玉成時のロス工数が低減されている。(図3

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