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Flexscheスケジューラ —— 成功事例

FLEXSCHE実例―M社

お客様DATA

M社

本社 岡山県倉敷市

設立 昭和639

資本金1億6,000万円

従業員数 90

営業所 大阪営業所、福山営業所

取扱製品 新聞印刷物、販促用印刷物、文字物印刷

(記念誌、社内報、機関紙等)、事務用印刷物、各種帳票類、包装資材、名刺、ハガキ、案内状等



商業印刷工程では次々と入る受注への対応が不可欠。属人化からの脱却、輪転機の効率的な運用を実現。

取締役 営業本部長 大阪営業所長

制作グループ部長(兼) 編集チーム課長

工務グループ課長

K氏

制作グループ

H氏


 より鮮度の高いニュースを提供したい。時間の効率化を図るべく毎日新聞社が中国四国地方の新聞印刷をカバーするために設立したM株式会社。同社では商業印刷にも力を入れており、売上の約半分を占めるに至っています。新聞社の印刷会社として商業印刷においても信頼のベースとなる「正確な納期と品質」を重視。そこで課題となっていたのが手作による工程表作成です。工程表は一人の担当者が作成し、病欠等の際、誰も代わりができない状況が続いていました。工程表の確実性、迅速性、さらに誰でも作成、変更が行える容易さを実現するために、また輪転機のより効率的な活用を図るためにシステム化は急務に。FLEXSCHEによる印刷工程支援システムのキーワードは“札”、また瞬時な判断に対応できる柔軟性も求められました。


商業印刷のベースとなる工程表作成に課題

 1988年、瀬戸内海をまたいで本州(岡山県倉敷市)と四国(香川県坂出市)を結ぶ瀬戸大橋が開通。新時代の交通網として観光事業はもとより物流や流通の流れも大きく変わりました。瀬戸大橋開通と同じ年に、Mも岡山県倉敷市に誕生します。

 瀬戸大橋開通以前、M社では大阪本社で印刷した新聞を中国・四国地方に運んでいましたが、輸送時間を短縮し、より鮮度の高いニュースを中国・四国地方の読者に伝えたいという新聞社の使命が同社設立の理由です。

 「新聞の読者は毎日、新聞の到着を心待ちにしておられます。私たちは工程時間を守ることが読者や販売店、輸送会社等、ご協力いただいている方々にお応えすることだと日々、肝に命じています」と、取締役営業本部長のM氏は語ります。

 こうした社風は同社の商業印刷にも活かされています。同社の商業印刷は、チラシ、冊子、フォーム印刷等、多岐に渡り、同社の売上の約半分を占めるに至っています。広告媒体としてのインターネットの活用、コスト競争の激化、海外印刷の拡大など商業印刷をめぐる環境が厳しさを増す中、同社では「正確な納期と品質の良さ」をセールスポイントに、現在、約50社のお客様と確かな信頼関係を築き、事業の継続と発展に努めています。

 信頼関係を築く上で納期の厳守は必須です。その一方で、商業印刷用の商業オフセット輪転機を効率良くフルに活用することも求められます。この両方のニーズに応える上で重要な役割を果たす工程表の作成に関し、同社は大きな課題を抱えていました。


システム化の骨子は“札”の考え方

取締役 営業本部長 大阪営業所長

M氏

 商業印刷で仕事を受注できるかどうかは、すでに予定している仕事の中に新しい仕事を割り込ませることが可能かどうかにかかっています。印刷の工程は一度決めても次々と入る受注に応じてリアルタイムに修正が行われるため、常に関係者が最新の情報を共有している必要があります。そのベースとなるのが工程表です。

 従来、工務部門では工程表を作成するために必要なデータを手入力し、工程の順番を手作業で並べ替えていました。これら一連の作業は、一人の担当者がワープロ機能と独自のノウハウを駆使して行っていたため、病欠等の際、誰も代わりができない状態が続いていました。

 「新聞印刷の工程は毎日、ほとんど変わりませんからシステム化の必要はありません。一方、商業印刷は日々工程が変化します。工程表は商業印刷のベースとなるものです。システム化し誰もが容易に作成、変更を行えるようにしておくことは急務でした」(M氏)。

 M社において新聞編集のシステム化プロジェクトに携わった経験がある、M氏を中心に、印刷工程支援システムのプロジェクトがつくられました。同プロジェクトがまず取り組んだのが仕様書の作成です。

 「営業は受注システムに対し、クライアント名、受注した物件の価格、納品日時と場所、商品名、印刷部数など、受注データを入力します。受注データには工程を決める要素が含まれています。この受注データをオンラインで工程表に取り込み自動組を実現するというのがシステム化の出発点でした」(M氏)。

 M氏は地域の同業他社の動向を調査してみましたが、工程表作成をシステム化しているところは見当たりませんでした。調査の過程で、名刺サイズ用紙に情報を手書きし、それを時間軸が描かれた板に貼りつけて工程表にしているという話を聞き、それをヒントに“札”の考え方をシステム化に取り入れることにしました。

 「“札”の考え方は従来、ワープロで作成していた工程表の形式と近いものでしたから、継続性の面でもマッチしていました」(M氏)。一件の受注に一件の“札”をつくり、オンラインにより受注情報を集め、印刷時間を自動計算させ、納期時間をキーにしてその“札”を印刷順に自動的に並べていく。同プロジェクトではこの考え方を印刷工程支援システムの骨子とし、システム要件をまとめ、複数のメーカーに開発提案を依頼しました。


採用の決め手は瞬時の判断に応える柔軟性

制作グループ

H氏

 M氏と一緒に仕様書の作成を行ったK氏は工程表作成のシステム化の難しさを次のように話します。「今回、検討を進めていく中で簡単なプログラムを組んでみましたが、なかなかうまくいきませんでした。それは変動要素が非常に大きいことに起因しています。工程表の作成は印刷に必要な項目(印刷条件など)が全部そろうまで待ってはいられません。どこまでそろえば、工程表を作成するか。その点が非常に難しかったです」。

 変動要素が大きいことは今回の重要なテーマとなりました。「工程表作成のシステム化では、必要な受注データをもとに自動計算し自動組を行いますが、完璧な結果を求めず、最終的に工務が微調整する前提で仕様書をまとめました。プログラムで完璧を求めるのは困難であると判断したことと、これまでの商業印刷の経験から想定外の事態に備え、人間的なノウハウを工程表の作業に残すことも必要だと考えたからです」(M氏)。

 例えば、コンピュータの計算上で1分、間に合わなかったとしても、1分くらいは許容範囲であると人間が判断する余地を残すことは重要です。また、客先からのデータ入稿時間が遅れる等、様々な状況変化への柔軟な対応も必要になります。

 「基本的な情報は工程表で、瞬間的な判断は人間が行う。後で記録として“札”を並べかえるケースもあります。人間が考える余地を残しておくほうがシステムトラブルなどの対応でも応用がききます」(M氏)。

 仕様書に基づき、各メーカーがプレゼンテーションを実施。製品選定はプレゼンテーションが終わったその日に、スムーズに決まりました。


しっかりとした仕様書のもと短期間導入

工務グループ課長

K氏

FLEXSCHEによる印刷工程支援システムの特長は次の7点に集約できます。

●工程表へのデータ取り込みのオンライン化

●印刷物件の内容(紙サイズ、印刷部数、折りの有無等)から印刷時間を自動計算

●納期をキーにした“札”の順番(=印刷順番)の自動組

●納期に間に合わない“札”は一目でわかるように、色や目印で視覚的に表現

●輪転機の台数は最初の設定に追加登録が可能であること(拡張性)

●大阪市内にある営業所でも工程表をオンラインで閲覧可能に

●自動組であふれた“札”の手処理を含む、最終的な人間の判断に対する柔軟な対応

 200511月から20063月まで仕様書をまとめ、20066月末にFLEXSCHE採用を決定、20067月末に納品、デバッグ作業の後、20068月に本稼動。採用決定から本稼動までわずか2ヶ月間という短期間導入を可能にしたのがしっかりとした仕様書の存在です。

 FLEXSCHE導入におけるシステムインテグレーター、エイシーティのサポートについて、システム面で同社とエイシーティの橋渡し的役割と、その後のデバッグ作業を担当したH氏は「トラブルや不具合を整理してエイシーティに解決をお願いしましたが、迅速かつ適切に対応していただき、とても助かりました」と、高く評価します。

 

属人的な技術を必要としない工程表の作成

 印刷工程支援システムでは工程表に必要なデータを、受注システムからオンラインによりCSVで取り出し“札”に自動入力、納期をキーに自動組を実現。「印刷工程支援システムにより、二重作業の廃止、手入力の際に生じる入力ミスの防止、データの修正漏れの防止、さらに工程表作成の操作が簡便となり属人的な技術を必要としないなど多くのメリットが生まれました。当初の目的であった誰もが容易に工程表の作成や変更を行える体制をつくることもできました」と、M氏は導入効果を語ります。

 同社の印刷工程では、夜の8時に深夜分と翌日分までの印刷の見通しを決めておく一日単位が基本です。

 「前日までに翌日の印刷工程が効率的に埋まっていくことが重要ですが、そのためにも先のスケジュールを把握できることは、印刷現場はもとより営業にとっても便利だと思います」と、工程表の運用を担当しているK氏は語ります。印刷工程支援システムでは工程表に必要なデータを、受注システムからオンラインによりCSVで取り出し“札”に自動入力、納期をキーに自動組を実現。「印刷工程支援システムにより、二重作業の廃止、手入力の際に生じる入力ミスの防止、データの修正漏れの防止、さらに工程表作成の操作が簡便となり属人的な技術を必要としないなど多くのメリットが生まれました。当初の目的であった誰もが容易に工程表の作成や変更を行える体制をつくることもできました」と、M氏は導入効果を語ります。

 同社の印刷工程では、夜の8時に深夜分と翌日分までの印刷の見通しを決めておく一日単位が基本です。

 「前日までに翌日の印刷工程が効率的に埋まっていくことが重要ですが、そのためにも先のスケジュールを把握できることは、印刷現場はもとより営業にとっても便利だと思います」と、工程表の運用を担当しているK氏は語ります。

 工程表をスムーズに運用するための決まり事もつくっています。「営業がデータを入力する際、必要項目を入力しないと工程表にのらないという決まり事をつくりました。ただ、どうしても決まらない場合、直接システムに手入力しダミー物件を工程表にのせ、印刷工程を仮予約することも可能です。」(K氏)。

 また、操作ログを取れるようにし解析に役立てることもしています。「当初、印刷工程支援システムを使い慣れていないためにトラブルが発生したこともあって、その原因究明のために最低限の操作ログを取れるようにしました。使うことにより改善点もでてきましたが、大きなトラブルはなく順調に運用しています」(M氏)。

 新聞社の印刷会社として信頼をベースにビジネスを展開する、同社の商業印刷をFLEXSCHEによる印刷工程支援システムが支えています。

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